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最後のヨーロッパ旅行 - 中欧四都物語 (その4) ハプスブルク家の都ウィーンへ [欧州鉄道旅行]

翌日は、鉄道でウィーンへ移動。昨日予習ができませんでしたが、ホテルから駅までの距離を考えると、ホテルの車の出発時間はだいぶ余裕を見てくれているようなので、それほどの心配はしていませんでした。

実際、ホテルをチェックアウトし、用意されていた車で駅に向かうと、だいぶ列車の出発時刻より前に駅に到着しました。駅構内はそれほど大きくなく、大きな出発案内を見ると、私たちが乗る予定の列車もすぐに見つかりました。9時10分ブダペスト発のその列車は、なんとザルツブルク行きでした! ポルトガルからスペインに行ったときは、あまり国をまたぐという意識がなかったのですが(時差はあったにもかかわらず)、ザルツブルク行き、なんていう列車をブダペストで見ると、久々にヨーロッパ鉄道旅行の醍醐味を味わうような気分になりました。

その列車が停まっているホームに行くと、係のおじさんが、座席まで案内してくれると言います。かなり長い編成で、私たちの席がある車両は、ターミナルの端からだいぶ遠い所でした。席に着くと、やはりチップを要求しました。ま、いいでしょう。

この車両は、オーストリア国鉄のRailjetというもので、デザインもスタイリッシュで清潔感に溢れています。これなら、これから2時間半の旅も快適そうです。

ブダペストを出てからの車窓の景色は、平原が続く、といった感じで、あまり変化がなく、漠然と今朝のニュースのことに頭を巡らせてしまいます。日本での原発事故は、ますます深刻の度を増していて、かなり悲惨なようです。France24というフランスのニュース(英語版もあります)によれば、エール・フランスやルフトハンザは東京行きのフライトを止めたとか。2週間後に英国滞在のビザが切れ、Virgin Atlanticで帰国便を予約している私たちとしては、帰国自体も危ぶまれる状況になってきました。ビザが切れてしまうのに飛行機が飛ばなくて帰れない、なんていう事態になったらどうしたらいいのだろう。それに、帰国日に合わせて東京での生活をあれこれ手配しているところを、これをまたやり直すとなったら、このような混乱した状況下だけにどうなってしまうのか想像もつきません。朝はかなり落ち込んでいて、まだこの先長い旅行を続ける気力を失っていましたが、なんとか最後まで続けようと気を持ち直してここまで来ました。

そんなことに思いを巡らせながら、ぼーと車窓の景色を見ますが、あまり目を引くものはありませんでした・・・1等車を取っていたので、ドリンクやスナックは提供されて、食事もオーダーすれば可能ですが、この日はホテル・ザッハーのザッハー・トルテをお昼にしてしまおうと計画していたので、食事は我慢です。

次に停まる駅などの案内もモニター画面に表示されて、とても安心して利用することができました。もちろん、いつも鉄道の旅には欠かせない、途中駅の発着時刻も含めた時刻表や万一乗り遅れた場合の後の列車の時刻表なども用意してはいました。今回は、オーストリア国鉄のサイトでこれらの情報を入手して、プリントアウトして用意していきました。

さて、ウィーンではMeidlingという駅で下車です。私の持っている小さなガイドブックでは、地図からはみ出てしまうような位置にあるようで、かろうじて地下鉄路線図で場所が分かるといったところです。こんなところに停まる理由は、南駅が大規模な再開発の真っ最中だからのようで、実際、Meidlingに着く前に、それらしい箇所を通りました。

ウィーンではユーロが使えるので、楽。さらには、ブダペストから来ると、スーパー洗練された先進国なので、ちょっと居心地がよく緊張が緩むのを感じます。タクシーでホテルに向かおうと思いましたが、なぜかタクシーの案内が見つからず(こういうことって珍しいのですが)、結局地下鉄でホテルそばのKarlsplatzに向かいました。

地下鉄はまあまあスムーズで(乗り換えた際に、反対方向のホームに向かってしまったり、というのはありましたが)、無事Karlsplatzに到着。駅舎がアールヌーボー風というのをガイドブックで見ましたが、なんとなくそれは眺めて通り過ぎ、さてホテルは? 出口を出れば目の前のはずが、どうも違うところに出てしまったようです。今から思うと見えていた立派な建物はカールス教会だったようですが、その時は分からず、通りを行く人もほとんどいない中、紳士風のおじさまに道を尋ねたのでした。小雨も降り出したので、急いで歩き、あ、あれはオペラ座、これで到着だ、と安心しました。そうです、ウィーンでの投宿は、奮発してホテル・ブリストルとしたのです。

ホテルに着いて、格調高いながらも暖かい歓迎を受けて、ちょっと一安心。部屋に案内されると、私たちの泊まる部屋は、廊下から少し奥まったところにあるようで、ドアを開けるとまた通路。これがなんだか高級感を一層醸し出します。内装もとてもデコラティブで、王朝文化華やかなりしウィーンという雰囲気があふれていて最高でした。もちろん、広さも十分。

少し落ち着いたところで、さっそくホテル・ザッハーに向かいました。ここはさすがに超有名なだけあって、客も多く、さばき方がやたらシステマチック。こういうところは日本に似ているかもしれません。まず、クロークに案内されてコートや傘を預けます。それからテーブルへ案内。卒業旅行生らしい、若い日本人女性がグループで来ていて、ザッハー・トルテを食べています。私も当然、ザッハー・トルテとウィンナー・コーヒーを注文。見た目、こってりと甘そうですが、そうでもなく、洗練されていて、コーヒーとの相性が抜群。最初見たときは、全部食べられるかなって不安になっていましたが(甘いものはそう得意ではないのです)、ペロッと食べてしまいました。

この後、シェーンブルン宮殿に行ってしまうことにし、再び地下鉄に乗りました。夏だとさぞかしにぎわっているのだろうと思うのですが(トイレのあまりの大きさに、それをますます確信しました)、寒く、天気も薄暗い今日のような日は、とても静かで、落ち着いて観光ができます。とは言え、庭園には当然花などなく、ちょっとさみしいのは間違いありませんけれど。宮殿内部は日本語の音声ガイドを利用し、みっちり見学。ただ、やっぱり日本の状況にかなり心ここに非ずの時があって、今振り返ると、あまり覚えていないのですよね。。。なんだかガッカリ。贅を尽くした部屋が次々と現れますが、ベルサイユほどの圧倒さではないと思います。

宮殿見学の後は、庭を歩き、グロリエッテまでなんとか到着。高台にあるので、宮殿や庭を見下ろし、その背景にあるウィーンの街並みも遠望でき、とても素晴らしい。思い切りこの素晴らしさを楽しめない心境なのがつらいところですが、それでも精いっぱい、この瞬間を味わうようにしました。

この日は(ずっとそうですが)、ホテルのダイニングで、当然ウィンナーシュニッチェルとオーストリアのワインです。ブリストルのレストラン「コルソ」はとても有名だそうで、かなり期待していました。食事もワイン(リースリングとグリューナーフェルトリーナー)もどちらも素晴らしく、私たちが心から楽しんで味わっているせいか、サービスのおじさまたちもとても暖かい心遣いを示してくれました。これはとても印象に残っています。

ところで、今ホームページで見ると、夕食のドレスコードはフォーマルとありますが、私は旅人風に荷物が少ないため、いつもジーンズ1枚しかなく、靴もウォーキング・シューズしかありません。それでも断られたこともなく、サービス係に嫌な思いをしたこともありませんでした。英語を(下手でも)丁寧に話すことと、料理やワインの必要最低限な知識を持ち合わせておくのは大切かもしれません。また、カジュアルな格好でも、だらしないのではなく、きちんと感を持っておくのも大事かもしれません。男性がジャケットを着ていれば、女性は私のようなカジュアルでも、だいぶ違うでしょう。

とりあえずウィーンに来て、少しほっとしたものの、日本の状況はまだ先が見えませんでした。

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