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最後のヨーロッパ旅行 - 中欧四都物語 (その3) ブダペスト1日観光 [欧州鉄道旅行]

ブダペストに到着した翌日は、1日ブダペスト観光です。青空が広がり、穏やかな晴天が一日続きそうでした。

ホテルのフロントでATMの場所を聞き、まずはハンガリーの現地通貨フォリントを調達。そして、何はともあれ、くさり橋を渡り、対岸の王宮をめざします。

この日は、ハンガリーでは、「1848年の革命と自由戦争記念日」という祝日になっていて、ハンガリー人たちは胸元に緑と赤のバッジを付け、やはり王宮めざして大挙していました。このような愛国心を高揚させるような日に当たり、ハンガリー国民の様子を観察できるなんてとても貴重な体験です。

くさり橋を徒歩で渡って、王宮の丘へ登るためのケーブルカー乗り場でチケットを買おうとすると、私たちがATMで下した現金では往復分が買えないということが分かりました。どうせもっと現金は必要になるだろうから、というのと、思った以上に気温が高く、着てきた服装ではとても暑くてたまらないので、いったんホテルに戻って出直すことにしました(こういうとき、ロケーションのいいホテルって便利)。

再び出直してきましたが、結局ケーブルは登りの片道分だけ購入。行き来している間に考えが変わり、下りは歩いて降りようとなったのでした。

このブダの丘を登るケーブル、かつてRailway Storyでもケーブルからのブダペストの眺めを見たことをとても良く覚えていて、実際にそれを体験できるなんて夢のようでした。本当に短い距離で、あっという間に着いてしまうのですが、ぐんぐん高度を上げるにつれ、くさり橋とドナウ川、対岸のペスト地区がよく見渡せるようになり、まさにドナウ川の真珠と呼ばれる美しい街並みを堪能することができます。

すでに丘の上には、ハンガリー人がたくさん集まっていて、美術館などは行列が出来ています。私たちは、しばし景色を眺め、対岸の立派な建造物である国会議事堂や聖イシュトヴァーン大聖堂などを確認した後は、王宮の建物は外観のみにとどめ、マーチャーシュ教会に向かいました。

もう日差しが強くなり、三月とは思えない陽気になってきました。黒いセーターだと背中が暑い・・・この王宮の丘から、マーチャーシュ教会前の三位一体広場まで、この祝日のせいでしょうか、民族的なお土産屋や屋台などが軒を連ねて、とても興味深い。今振り返ると、もっとじっくり見れたら面白かったと思うのですが、この時は、朝テレビで見た日本の原発事故のことが頭にこびりついて、心ここにあらず、の状況でした。時々、はっと我に返り、こんな人込みでぼんやりしていたら危ないから気を付けなくては、と思うのですが、また気が付くと、日本のことを考えてしまいます。

漁夫の砦まで来たところで、日本人観光客がいて、なんとなく気分が楽になりました。

あいにくマーチャーシュ教会は工事中で中に入れず、この後、丘の一番端のウィーン門まで散歩し、再びケーブルカー乗り場の所まで戻ってきてから、丘を降りました。すでにお昼が近くなっていましたが、朝よりも一層丘をめざすハンガリー人の数が増えていて、徒歩で登る人たちも途切れることなく続いています。くさり橋を王宮に向かう人も多く、トラムも超満員です。この後、あの丘はどうなってしまうんだろうか、と不安にならずにいられません。

私たちは再びホテルに戻り、ホテルのカフェで軽い昼食にしました。

その後はドナウ川沿いを北に進み、国会議事堂の外観を見学。ちょうど衛兵の交代もあったりで見学しましたが、この国会議事堂の周囲もハンガリー人が列をなしています。どうも中に入る列のようなのですが・・・どこもあまりの人の多さにびっくりします。日本では建国記念日なんて、最も陰の薄い祝日の一つのように思うのですが、このように国の独立や誕生を祝うのってとても大事に感じて、ハンガリー人の楽しんでる様子はとても印象に残るのでした。

次は聖イシュトヴァーン大聖堂へ。ここは中に入り、ドームの上まで登りました。ここにも、卒業旅行生っぽい日本人観光客が。。。その後、イシュトヴァーンの右手のミイラなるものを見に行きましたが、さっぱり分かりませんでした。

この後、大聖堂前の広場に軒を連ねるカフェの一つに入り、しばし休憩。そして次は英雄広場と市民公園に行くことにして、遂にブダペストの地下鉄に乗ることになりました。ブダペストの地下鉄と言えば、歴史的にとても古く、貴重なもので、世界遺産に登録されているほど。聖イシュトヴァーン大聖堂のすぐそばに地下鉄駅があるのですが、タイルの壁でやたらレトロ。地下1階のような、とても浅い地下をおもちゃのような鉄道が走っていました。ここでは結局切符は窓口で買って乗りましたが、なかなか緊張感を感じました。危険、というのではないのですが、ちょっと馴染めない空気感。

さて、しばらく乗って英雄広場前の駅で下車。マジャール民族による国土征服1000年を記念して造られた広場とのことで、愛国的祝日の日にぴったりの場所のようです。広場の向こう側の市民公園は、ぽかぽか陽気も手伝って、家族連れのハンガリー人が大勢来ていて、それぞれ思い思いにくつろいでいます。私たちも池の前のベンチに陣取り、普通のハンガリー人たちが祝日を楽しんでいる様を観察しました。アジア民族の血が混ざっているとは言っても、だいぶ混血が進んでいるようで、東洋人の私たちから見れば西側の人たち、のようですが、そうは言っても西ヨーロッパとはまただいぶ違う雰囲気です。この馴染みのなさから、地下鉄などでは居心地の悪さを感じたのでしょうか。

しばらく休んだ後、再び地下鉄で市の中心部に戻り、明日鉄道に乗る予定の東駅の予習を試みたのですが、乗換駅で切符がうまく変えず、断念。券売機に現金を入れたら、お金が吸い取られただけで、切符が出てきませんでした・・・共産圏のようです。それで、小銭は無くなってしまい、窓口もないので、諦めることにしたのです。やれやれ。

本来だったら、この後ヘレンドの本店に寄って、お土産を購入するところだったのですが、すっかり日本の状況に落ち込んでいた私たちは、もうそんな気分ではないとホテルにすごすごと戻ってしまいました。

ブダペストの観光は、これで終わりです。この日の夕食も前日と同じホテル1階のレストランにし、この日は祝日のせいだったか、シャンパンのサービスがありました。3種類ぐらい味見をして、結局Gossetに決めました。Gossetのシャンパーニュなんて久しぶりで、とても味わい深いものでした。そして昨晩と同様に、ハンガリー産ワインの3種飲み比べ(昨晩は説明をきちんと理解できず、誤って注文して高くついてしまったので、この日の晩は改めて選び直しです)を楽しみました。窓の外は、美しくライトアップされたくさり橋とブダ王宮。ハンガリーの祝日や日本での悲惨な状況など、自分でも感情をどう扱ったらいいのか分からない状況のまま、この日が終わりました。

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