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秋のパリとコート・ダジュール(その5) ニース観光2日目 [欧州鉄道旅行]

タンド、ヴェンティミリアとローカル線の旅を終えてニースに戻った後、この日はニースの北側にある美術館を訪問することにしました。

まずマティス美術館まで行き、横の円形闘技場後も見学して、その後シャガール美術館を見学、という計画です。

歩いていけなくもなさそうですが、駅からタクシーに乗ってマティス美術館へ向かいました。

タクシーに乗ってみると、思った以上に距離があり、道もそう単純でなく、しかも上り坂が多かったため、エネルギー節約にタクシーに乗ってよかったと思いましたが、到着して料金を聞くと17ユーロという。あまりの高さにビックリした様子の私たちに、運転手は、「ニースのタクシーはゾーン別になっていて、料金は固定なんだ」と言います。勉強不足の私たちはそんなことは知らず、ガイドブックにも何も書いてありません。夫は納得せず、タクシー運転手としばらくいさかいを起こしていましたが、私は面倒になって円形闘技場の方に歩きだしてしまいました。

夫も諦めてやってきましたが、後になってこの運転手は実は良心的だったということが分かり、とても心を痛めたのでした・・・

ローマ時代の遺跡を歩いた後、すぐ横のマティス美術館に行きました。アンリ・マティスの作品をこれだけまとめて見たのはもちろん初めてのことで、マティスの作品の理解はなかなか難しいものの、マティスが晩年を過ごしたこのニースで見たということで、少しは近づけたような気になりました。

その後は、高級住宅地と言われるシミエ地区を歩いてシャガール美術館へ。途中のバス停にはバスを待つ人が多くいて、タクシーの料金を思うと納得でした。しかし、このシミエ地区を海方面へ歩くのは下り坂なのであまり苦になりません。それに、豪華な家々の数々を見て歩くだけでもすごく面白い。昨日ミニ・トレインで回った旧市街とは全く別の世界がここにありました。まさに山の手。日本の金持ちが住むと言われる成城などと比べても、やはりこの辺りの豪華さや規模は全く桁違い。この陽光と遠くに水平線を臨める絶景を独り占めできるなんて羨ましい限りです。

そんな高級住宅地を過ぎて、鉄道の線路が近くなるとシャガール美術館に到着です。きれいに手入れされた庭が広がり、オリーブの木が植えられていました。時期なのか、オリーブの実がいっぱい地面に落ちていて、なんかもったいない気がしてしまいましたが・・・ここには、シャガールの大作12枚の旧約聖書の物語があり、それぞれの作品が赤、緑、青、などの1色で全体のトーンがまとめられていて、見ていて迫力を感じます。このように一人の画家の作品をまとめてみることってなかなか経験がなくて、マティス、シャガール、それからパリでのモネ、またロンドンではゴーギャン、セザンヌ、カナレットなどの特別展を訪れる機会があったのはとても貴重な経験でした。その画家について理解を深くすることができ、作品の理解度も高まります。これはヨーロッパならではなんでしょうか。

2つの美術館を訪れた後は、トラムの走るジャン・メドゥサン(Jean Medecin)通りを散策。ニースに住む普通の市民の活気をここで感じることができ、ここを歩いて良かったと思いました。そうでないと、いわゆる観光地巡りで終わってしまいますから。そして、通りの終点マセナ広場に再び来て、ホテルに戻りました。マセナ広場からLe Meridienに戻るまでの小さな一角には、有名ブランドのショップが立ち並んでいます。

ホテルに戻り、翌日ニース駅までタクシーで行こうかと思い、主人がホテルの人にすぐにタクシーは来るか、とか料金などを聞いたところ、先ほどのタクシー運転手は全くぼっていないどころか1ユーロまけてくれたということが分かったのです。Le Meridienから駅まで、せいぜい5ユーロぐらいかと思ったら、なんと10数ユーロ(正確なところは忘れてしまいました)もかかると言うのだそうです。それで、ニース駅からマティス美術館まで17ユーロかかったと言ったところ、「それは安い」と言われたそうなのです! ニースのタクシーはとても高いので、利用するときには気をつけましょう・・・結局、私たちは翌日歩いて駅まで行ったことは言うまでもありません。

この日の夕食は、ホテル裏手の通りにある感じのいいカフェで、これぞ本場のサラダ・ニソワーズとピザをいただきました。やっぱり、こちらのサラダはどこにいってもピザの皿と同じぐらいの大きさで出てきて、私なぞはこれで満腹状態です。ここでいただいたニース風サラダにはゆでたじゃがいもが入っておらず、いつもWaitroseで買うものは、イギリス風サラダ・ニソワーズなんだろうか、とこの時疑問に思いました(上でリンクしたWikipediaでは、ゆでたじゃがいもは入るようです)。

このカフェが並ぶ通りは、毎日ニース駅とホテルを往復していて、なかなか感じがいいので、毎日ホテルでの食事ではつまらないから最後には寄ってみようと思ったものです。実際、海岸沿いのイギリス通りに並ぶお店は、若い人向けの安い食事を出すところばかりのように見え、反面、イギリス通りに並ぶホテルのレストランでは高級すぎますから、適当な外食の場はないのかなぁと思っていたのですが、この通りこそ夜になると大賑わい。ミドルクラスの人たちは恐らくここに来るのでしょう。通りいっぱいに、両側のレストランがテーブルと椅子を眺め、ワインを飲んだりおしゃべりに興じたりする人たちでいっぱいです。10月の夜でも外で食べられるなんてやっぱりコート・ダジュール、素晴らしいと思いながら、この喧騒をしばらく味わった後部屋に戻りました。

いつも周遊型の旅行をしてきましたが、今回は来たルートと同じで単純にTGVでパリへ戻り、パリの北駅前のホテル、Mercure Paris Terminus Nordに泊って翌日ユーロスターでイギリスに帰りました。実はこの翌日から、フランスは無期限ストに突入したんですよね。ニースに行く前にパリに滞在しているとき、France24を見ていて、あいにくこの時はフランス語ニュースしかなかったものの、greve(ストライキ)とmardi(火曜日)という単語が分り、どうも翌週火曜日からストをするらしい、というのを理解しました。だんだんストをする側が過激になっていき、混乱している様子を何度もBBCで見ましたが、あまりの運の良さに無宗教の私も「神に感謝!」の気分です。1日ずれていたら、旅程を変更せざるを得なかったかもしれませんし(国際列車は動いていたようでしたが)。ただ、やっぱりいつかこの運は途絶えてしまうのですけど。

今回の旅行で、大学時代に習ったフランス語をだんだん思い出して、時々使ってみました。思った以上に旅行ではなんとかなることが分かり、楽しめました。最近のフランス人は当然のように英語を話しますが、フランス語を話すとやっぱりものすごく嬉しそう。顔に出る人がいっぱいいたので、それが愉快でした。それにすごくゆっくりたどたどしくても、辛抱強く聞いてくれるし。やっぱり言葉って大事ですし、旅の楽しさを倍増してくれます。

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